GUMKA工房記

GUMKAミニチュアの備忘録を兼ねた日常記です。

スーパーチャージャー付きフォードV8エンジンのオバさん

人の心は「引き出しの沢山あるタンス」だと思っています。
キチンと区分された細かい引き出しが無数にある人もいれば、
大きな引き出しに大雑把に記憶を放り込んでいたりと様々。

さらに引き出しに鍵を掛けている人もいれば、
開けっ放しな人もいます。
開け易いようで開け辛かったり、
その逆も、またしかり。

引き出しの中にある「記憶」や「感情」、
「思い」を燃料に動くのが「会話エンジン」です。

沢山の引き出しがあるのに、
エンジンが4サイクル50cc単気筒だったりすると、
長い時間、話題がつきませんが、飽きる嫌いがあります。

逆に引き出しが小さいのに、
2サイクル三気筒750ccだと、すぐ燃料切れです。

引き出しの数もそこそこ。
会話エンジンも4サイクル水冷4気筒1600cc、
普通はそんなもんです。

てな事を頭に入れて、以下どうぞ。

_________________________


今週、新しい床屋に行きました。
カットしてくれたのは、自分と同年代か、やや上のオバさん。

「お客さん、御近所? 私、いつもは沿線の別の店にいるけど、
 今日は店長が風邪ひいたんで、応援に来たんですよ」

オバさん、歌手(バラエティ?)のmisonoが年を取ったような感じ。
世間話も多めで、話好きな様子なので、試しに会話のパスを投げてみると、
全て受け止め、しかも流すことなく投げ返してきます。

どうやら、会話エンジンはフォードV8のようです。
これは良いエンジンなんですね~。
それが証拠に聞いてもいないのに、身の上話を始めています。

よ~し、今日は、この人の引き出しを開けて、
直線道をぶっ飛ばしてみましょうか。
まずはアクセルを踏み込んでと。

「お姉さん(←この単語がポイント)、歌手のmisonoさんの 
 未来像な感じですね」

鏡越しのオバさんが、みるみる嬉しそうな笑顔に。

その瞬間、オバさんの会話エンジンから、
何やらキュルキュル言う吸気音が?!

し、しまった!ノーマルのV8エンジンじゃない、
こいつは、スーパーチャージャー付きだ!
誤算でした。一気に吹き出すおしゃべりパワー、
まるでシートに押しつけれるような強烈な加速です。
全く話が止まりません。

私も、やめておけばいいのに会話ハンドル(あいづち)と
シフトノブ(おいしい質問)を操り、アクセル(水向け)踏んで、
さらに速度を上げます。
オバさんのエンジンは悲鳴を上げるどころか、
グングンと加速しています。

どうやら、会話レーシングクランクも組み込まれているようですね。
ノリ突っ込み、故意な聞き間違い、自虐、妄想、物真似を次々と繰り出す、
芸達者な化け物エンジン、こっちが息苦しくなるような猛烈な加速感。
これだけの圧倒的なパワーは久々です。

店内には隣の椅子に老人と、その髪を切る24~5歳くらいの
女性理容師のみ。しかし、二人とも、すでに
我々の会話を聞き、ドッカン、ドッカン笑いっぱなし状態。

「Kさん、おもしろい話、やめてください。
 笑い過ぎて、仕事になりません!」

その女性からクレームが。
これは会話の赤信号なので、一旦、停止。
しばし休戦。ハサミのチョキチョキ音と、
隣席の思い出し笑いが店内に響きます。

しかし、一度、レッドゾーンを超えた
スーパーチャージャーエンジンが止まるはずありません。

こっちがアクセル踏んでいないのに、
「沈黙を破る」という青信号を勝手に認識し、
再び、キュルキュル吸気音が!

「ところで、お客さん、お一人ですか?」

うんにゃ、奥さんいるけど。

「楽しい男性は大概、結婚しているか、相手いるんですよね。
 私、バツイチで、この年になると、一人で晩ご飯を食べるのが寂しくてね。
 …そうそう、私のいつも働いているお店にも、渋くて、
 カッコいい独身男性がいるんですけど、どうもゲイらしいんですよ」

ここで一気に際どい下ネタ、しかも話し方によっては相手が引き、
白ける危険性の高い同性愛ネタを嬉々として語っています。
オバさん、エロ語り上手いな~、どうやら、
速度記録用ロケットブースターまで装備しているようです。
これはボンネビル塩湖で最高速度に挑戦できるレベル。

この加速は私の予想以上、もはや、コントロール不能ですが、
私の代わりに食いついたのは、隣の理容師。完全にハサミ止めて

「え?!もしかして、M田さん?M田さん、ゲイなんですか?!
 ショック~、なんか大人の男の感じがして、素敵だったのに。
 Kさん、証拠あるんですか」

「よく聞いてくれたわね、あるわよ~、沢山。
 まず私、何度も食事や飲み会誘っているけど、
 一回も来ないのよ。あれは女性に興味ないのよ」

オバさん、オバさん、私ゲイじゃないけど、
あなたに誘われても、御飯を一緒には食べるのは勘弁です。
おそらく、へとへとで何を食べたか、わかんないもん。

たぶん、おしゃべり熟女フェチ以外の人は誘いに乗ってこないでしょう。

以下、オバさんの言う証拠とやら

1) 冬だけでなく、いつも革パン。春や秋でも革ジャン着用

「レーザーラモンHG見ればわかるけど、昔からゲイは革なのよ」

単なるファッションでは?

2) シルバーアクセサリーを沢山、身に付けている。

「ゲイと言えば、シルバーアクセサリーよ」

(意味不明)


3) 太って、口ひげを蓄えた革パン男性が客として来て、
  いつもM田さんを指名する。

「横で話を聞いてたら、なんだか旅行の話をしてんだけど、
 1200ccとか1400ccって変な数字が混じっていたのよ。
 ピンときたわ。きっと、旅先で男同士で変態プレイを
 するつもりなのよ」

あの~オバさん、その二人、バイク乗りなのでは?
その数字は乗っているか、買いたいバイクの排気量で、
変態プレイに使う液体量ではないのでは??

オバさん、二人のプレイの様子を妄想会話で勝手に再現

「きっとホテルに入るや、
『M田、オレの愛、1200cc、お前にぶち込んでやるぞ!』
『ああぁ、お客様、嬉しいですぅ~』
とか、M田さん、声裏返って、やっているのよ」

M田さんの名誉のために教えてやろうか、とも思いましたが、やめました。
だって、ブログネタになるから、最後まで聞きたかったんだもん。


若い理容師
「あ~、M田さん、そんなことしていたなんて(無実の変態認定)
 もう本店行ったとき、私、M田さんの顔見られませんよ」


オバさん
「私なんか、毎日、会っているのよ。
 M田さんのお尻、キュっと締まっているから、
 ゲイにはたまんないじゃないの?女の勘では、絶対、ゲイよ。
 しかも、ハードゲイ、間違いないわよ」

ずいぶんと無責任な女の勘です。
生活の中の冤罪って、こうやって作られるんですね…

カットが終わって、身体を手箒で掃いてもらっているとき、
やはり、ここは敬意を込めて

「お姉さん、元お笑い芸人か、女性落語家とかですか?
 会話のレベル、おもしろ過ぎでしょう?」

「お客さんこそ、お笑いのシナリオとか書いてません?
 最高でしたよ、楽しかったな~。あ、私、いつもは本店にいるんですよ。
 今度、そっちにも来てくださいよ。今度は本店を笑いの渦に巻き込みましょうよ」

うん、スーパーチャージャー付きフォードV8エンジンは堪能したんで絶対に行かないから。

さて、どっかにフェラーリV12気筒会話エンジンを搭載したオバさんはいないかな?