GUMKA工房記

GUMKAミニチュアの備忘録を兼ねた日常記です。

人生観が変わる(?)手打ち蕎麦屋

裏磐梯ザリガニ釣りに行ったときのこと。

ザリガニ釣りする組と喜多方への観光組に別れて行動したのですが、
午後3時頃、喜多方から戻った観光組と釣り掘にて合流。

釣り組は熱中の余り、昼食を取っておらず、
観光組も歩き回って小腹が空いたと言うので、
蕎麦でも食べようということに。

猪苗代湖裏磐梯周辺には、美味しい蕎麦屋が何軒もありますが、
メンバーの一人、中尾彬風の渋めの紳士、ガンボさんが、

「じゃあ、最高の手打ち蕎麦屋知っているから、そこ行こうか」

ガンボさんによれば、店主は都内の有名蕎麦屋で、
高卒後、15年以上も修行し、
自分の理想の蕎麦屋の開業を決意。

良質な蕎麦粉と水を求め、信州、北陸、北東北など各地を捜し、
ついに裏磐梯に辿り着き、さらに良質な水を求めるうちに、
小野川を遡り、山形県に近い山奥に店を構えたそうな。

ガンボさんは、店主と修行時代から友達なので、
突然、訪ねようが、店主の親が危篤だろうが、
蕎麦を打ってくれる特権があるとのこと。

「オレも、二回しか行ってないけど、これが人生観が変わるくらい、
 素晴らしい蕎麦なんだよ。喰いもんで、人生観、変わったことあるか?
 ないだろう?」

ガンボさんが、そこまで言うなら行ってみようと、小野川を遡ること約20分。

車がギリギリ、すれ違える道から、対向車が来たらアウトな細い脇道に入り、

「よし、この林を抜けた所が、その蕎麦屋だ」

林を抜けた光景がこれ。

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蕎麦屋の「そ」の字もなし。首を傾げるガンボさん。

最近、廃業・閉店したなら、建物はあるはずなのに、
御覧のように何もありません。

雑草の生い茂る原っぱを注意深く見ると、
元駐車場らしく砂利石が敷かれた場所があり、
柱だった材木や湯呑の欠片が捨てられているので、
かつて建物があったのは間違いないようです。

でも材木の朽ち方を見ると、
ここ数年で壊されたわけでないような…
リーダー格のHさんが尋ねます。

「…ガンボよぉ、最後に来たのいつ?」

「え~っと、まだ、出版社で編集員やってた頃だから、17~8年前かな?」

一同、激しく脱力。仕方なく一本道を戻ろうとしたら、トロロっと、一台の軽トラックが。
え?!まさか?!、奇跡が起きるのか?!と高まる期待。

「あんたたち、こんなとこで、何やってんの?道に迷ったの?」

ハンドルを握るおばさんもびっくりした様子。

残念ながら蕎麦屋の関係者ではなく、
小野川湖畔で民宿をやっている御夫婦で、
宿泊客の夕食用に野生のキノコを採りに来たとのこと。

蕎麦屋のことを尋ねてみると、もう10年以上前に閉店したそうで、
建物の痕跡がほとんどないのは、
もともと古い農家を改装して始めた蕎麦屋だったので、
閉店後しばらくすると、古民家の再生業者が来て、
丁寧に分解して運んで行ったとのこと。
別の場所で、蕎麦屋だかウドン屋だかとして再利用されたそうです。

残っている材木類は、農家から蕎麦屋に改装したときに出た廃材で、
妙に古いのに納得。

「真面目な人で、理想の水とか言ってたけど、
こんな辺鄙なとこで商売やっても、イノシシとタヌキしか来ないよ」

うん。おばさん、アンタは正しい。みんなの冷たい視線を察した
ガンボさん曰く

「きっと、あの蕎麦屋は、ベル星人の擬似空間にあったんだな。
そういや、店主の奥さん、グモンガみたいな顔してたわ」

参加者全員、40歳以上だから、その言いわけ、意味は通じるけど…