GUMKA工房記

GUMKAミニチュアの備忘録を兼ねた日常記です。

ソ連ALFAのMig-3

社会主義国だったソ連では、全ての企業は国営で党と政府が決める経済計画に基づき運営されていました。

ソ連の官僚や役人連中は
軍事や重工業、国威発揚のためのスポーツ振興と宇宙開発などには、予算を注いだものの国民生活は犠牲となり、国営商店は慢性的な品不足で、時代遅れで低品質の品物が蔓延しました。

かくして経済は停滞し、社会全体が閉塞状況へと。これを打破すべく、ソ連時代末期のゴルバチョフ政権下では、「コーペラチーブ」という私企業の経営が認められました。

簡単に言えば、別荘の農園で栽培した作物や器用な人が日曜大工で作った家具などを自由に売って稼いでもOKとなったのです。

実は政府が公認する前から、ソ連国民は勤務先の工場の機械を勝手に使って、市場にない商品を作ったり、本業以外に仕事を持ったりして、秘かに商売をしていました。西側の言う闇経済です。

今回、紹介するALFA(アルファ)の1/72 Mig-3もそういう時代の代物です。


「珍しいソ連製プラモデルがあるけど、興味はあるか?」

模型店時代、ソ連や東欧の製品を精力的に扱っていたのですが、この製品を売り込んできたのは、ロシア人ではなくチェコ人でした。


「国営製品ではなく、ソ連の個人経営のプラモデルメーカーだ」

「厳密に言えばソ連では非合法だから、製造者は言えない」

「闇製品なんで、箱はない」

とのことでした。どういう金型を使っているのか質問しましたが、

「秘密だ。西側の連中が思い付かないような方法だ」

とのことで具体的な内容は不明ですが、たぶん、簡易インジェクションだと思います。原型を製作して、それを反転して金型を製作したようですが、原型そのものは悪くないものの、とにかく金型技術が低く全体的にダルい印象です。

キャノピーはバキュームフォームではなく、一応、インジェクション製ですが氷砂糖そのものです。

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プロペラはブレード形状がどうとか、エッジが云々というレベルではありません。

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脚や操縦席、脚カバーは、ランナーに付いていますが、厚いバリに覆われていて、
カーボン冷凍されたハン・ソロみたいになっています。

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裏面はこんな感じ。

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「おい、裏面の写真に髪の毛が写り込んでいるぞ。撮影前に注意しろよ!」

と思われた人も多いと思いますが、製造者の髪の毛が成型品の中に埋まり込んでいます。この髪をFSB(旧KGB)がDNA鑑定すれば、当時の関係者が判明します(たぶん)


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ALFAは、その後、スホーイSu-2、ヤコヴレフYak-4、Yak-6を同じ手法で発売しました。Su-2以降、インストが付くようになりました。

日本での反応ですが、まず、国内の模型会社の社員の方が、おもしろがって買ってくれました。

その他は、一部のコレクターが高い関心を持ってくれたものの、モデラーの多くは現物を見ると尻ごみする上、入荷が不安定だったので、大々的に広告も出せず、結局、ひっそりと売って終わった感じです。


ソ連崩壊後、ALFAは、ちゃんとしたインジェクションキットメーカーとなり、1/72のYak-6とLagg-3を発売しましたが、最近の動向は不明です。