GUMKA工房記

GUMKAミニチュアの備忘録を兼ねた日常記です。

父の懐中時計

5年前に他界した父親から貰った古い精工舎の懐中時計は、
父も祖父から譲り受けた親子3代もの。
ただ風防が割れており、文字盤も黄ばんでいたので、机の奥に何年も置き放しでした。

あるとき、長女が欲しいと言いだし、親子4代かと思うと、修理する気になり、
以前に、1944年製の精工舎の鉄道懐中時計を直してもらった都内の時計修理屋へ。

いかにもというドアを開け、店主に以前に御世話になったお礼を言い、今回の時計を渡します。
「これは、また年代物だね」と言いながら、外観を確認し、手際良く裏蓋を開けるや、
そこに刻まれたサインを見て、一言
「なんてこった」

急に何冊かの台帳を引っ張りだし、中の古い1冊で何か確認すると
「あんた、どこに住んでいる?名前は?あと、お父さんは?」

質問に答えると
「ああ、やっぱり…。この懐中時計は、今から19年前に、あんたのお父さんに頼まれて、
うちで修理したんだよ。このサインは私のものだ。そもそも、この時計はね…」
と、自分も知らなかった時計の詳しい来歴を聞きました。

もちろん、この不思議な巡り合わせに、店主と二人で驚いたのは言うまでもありません。

物は所詮、物です。けれども思いがこもった物は、
人と人を繋いでくれるという話は本当だなと思いました。